はじめに
ITパスポート試験のプロジェクトマネジメント分野で、多くの受験生が苦手意識を持つのが「アローダイアグラム(PERT図)」を使った計算問題です。
「丸と矢印の図形が出てくるとパニックになる…」
「クリティカルパスって要するに何?」
一見複雑に見える図ですが、実は「足し算」ができるだけで確実に解ける得点源です。
この記事では、アローダイアグラムの読み方の基本から、絶対に間違えない「クリティカルパス」の見つけ方、そして実際のITパスポート過去問の解き方をステップ順でわかりやすく解説します。
アローダイアグラム(PERT図)とは?
アローダイアグラム(またはPERT(パート)図とも呼ばれます)は、プロジェクトにおける「作業の順番」と「かかる日数」を、丸と矢印を使って視覚的に表した図のことです。
家を建てる(プロジェクト)ことを想像してください。
「壁紙を貼る」のは「壁を作る」後でなければできませんし、「屋根を乗せる」のも「柱を立てる」後でなければできません。このように、「どの作業が、どの作業の後にできるのか(作業の前後関係)」を整理するために使われます。
アローダイアグラムの基本ルール
図を読み解くためのルールは、以下の3つだけです。
- 矢印(→):実際の「作業(タスク)」を表します。矢印の上には「作業名(A, Bなど)」、下には「所要日数(3日など)」が書かれます。
- 丸(〇):結合点(ノード)と呼ばれ、作業の「開始」や「完了」といった区切りを表します。
- ダミー作業(点線の矢印):実際の作業時間はゼロ(所要日数0日)ですが、「作業の順番(Aが終わらないとBを始められない)」という関係性だけを示すために使われます。
最強の頻出キーワード!「クリティカルパス」とは?
アローダイアグラムの問題で、9割方出題されるのがクリティカルパスに関する計算です。
クリティカルパスとは、スタート地点からゴール地点までを結ぶ複数のルート(経路)の中で、「最も日数がかかる(最長となる)ルート」のことです。
なぜ「一番長いルート」が重要なの?
直感的には「一番日数がかかるルート」よりも「早く終わるルート」の方が良さそうに聞こえるかもしれません。しかし、プロジェクト管理においてはこの「一番長いルート」が命綱になります。
なぜなら、「一番長くかかる作業ルートが終わらないと、プロジェクト全体も終わらない」からです。
つまり、クリティカルパスの合計日数が、そのまま「プロジェクトが完了する最短の日数」になります。
【試験で問われるポイント】
クリティカルパス上の作業に1日でも遅れ(遅延)が出ると、即座にプロジェクト全体が1日遅れます。
逆に言えば、クリティカルパス以外の作業には、全体を遅らせることなく遅延できる「余裕時間(余裕日数)」があるということです。
クリティカルパスを見つける3ステップ
では、実際に図からクリティカルパスを見つける練習をしてみましょう。
手順はとても簡単で、以下の3ステップだけです。
【ステップ1】スタートからゴールまでの「すべてのルート(道順)」を書き出す
迷路のスタートからゴールまで行くように、矢印に沿って進めるすべてのルートを洗い出します。
【ステップ2】各ルートの「所要日数」をすべて足し算する
洗い出したルートを通る時にかかる日数を、単純に足していきます。
(例:ルート① = 作業A(3日) + 作業C(5日) = 8日)
【ステップ3】合計日数が「一番大きいルート」を見つける
計算結果を比べ、一番日数が大きいルートが「クリティカルパス」です。
単純な足し算の勝負なので、「ルートのもれ・見落とし」さえなければ絶対に正解できます。
ITパスポート試験の過去問で実践!
実際の試験で出た問題を想定して、クリティカルパスの計算と、「遅れが生じた時の影響」を考えてみましょう。
【問題】遅延の影響を考える問題
下図のアローダイアグラムにおいて、プロジェクト全体の完了を遅らせない(余裕時間の範囲内にする)ためには、作業Cは最大何日遅れることが許容されるか。
(※図の構成)
- ルート①(上):開始 → 作業A(4日) → 作業C(2日) → ゴール
- ルート②(中):開始 → 作業A(4日) → ダミー作業(0日) → 作業D(5日) → ゴール
- ルート③(下):開始 → 作業B(3日) → 作業D(5日) → ゴール
【解説と解き方】
ステップ1:すべてのルートと日数を出す
図から読み取れるルートの合計日数を計算します。
- ルート①(A→C):4日 + 2日 = 6日
- ルート②(A→(ダミー)→D):4日 + 0日 + 5日 = 9日
- ルート③(B→D):3日 + 5日 = 8日
ステップ2:クリティカルパスを見つける
一番長いのはルート②(9日)です。
つまり、このプロジェクト全体が完成するまでには「最低9日」かかることがわかります。設定された完了予定日はこの「9日」です。
ステップ3:作業Cの余裕時間を計算する
問題で聞かれているのは「作業Cは最大何日遅れても平気か?」です。
作業Cは「ルート①」の中にあります。ルート①を普通にこなせば「6日」で終わります。
プロジェクト全体の期限は、クリティカルパスである「9日」です。
つまり、ルート①は「9日」までに終われば全体に迷惑はかけません。
9日(全体の期限) − 6日(ルート①のかかる日数) = 3日
よって、ルート①全体には「3日」の余裕(余裕時間)があります。
作業Cが所属しているのはルート①だけなので、作業Cは最大「3日」まで遅れても、プロジェクト全体を遅延させることはありません。
答え:3日
まとめ:アローダイアグラム攻略の鉄則
ITパスポートにおけるアローダイアグラム(PERT図)計算問題の極意をまとめます。
- アローダイアグラムは作業の順序と所要日数を表す図である。
- クリティカルパスとは、スタートからゴールまでの「一番長いルート」のことである。
- クリティカルパスの日数 = 「プロジェクト全体の最短完了日数」である。
- クリティカルパス上の作業が遅れると、全体のスケジュールがそのまま遅れる(余裕ゼロ)。
- 解くときは「すべてのルートの足し算」を書き出して一番長いものを探す!
一見難しそうな図ですが、「ルートを探して足し算するだけ」の宝探しゲームみたいなものです。
WBS(作業分解構成図)やガントチャートと一緒に、プロジェクトマネジメントの3大ツールとしてしっかりセットで覚えておきましょう!
この記事はITパスポート試験のシラバス(マネジメント系:プロジェクトマネジメント)に基づいて執筆しています。
