今日は、ITパスポート試験シラバス6.3で追加になったビジネスの世界で重要な概念「MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)」について、若手営業マンの視点から解説していきます。
MVVって何?なぜ営業に必要なの?
会社という大きな船が、荒波の中で迷わずに進むためには、自分たちが何者で、どこに行きたいのかをはっきりさせておく必要があります。その役割を果たすのがMVVです。
MVVという言葉を聞いて、「難しそう…」「営業には関係ないかな」と思った方もいるかもしれません。実は、このMVVは営業活動を効果的に行う上で非常に重要な概念なんです。
これらを理解することによる利点としては、自社の製品やサービスの本質的な価値を顧客に伝えられるようになります。つまり、MVVは営業トークの核心部分を形作る重要な要素なんです。

ミッション:企業の使命・存在意義
ミッションは、その組織が社会において果たすべき役割や、なぜ存在しているのかという根本的な理由を指します。いわば、山登りにおけるなぜ登るのかという目的そのものです。
例えば、飲食店でのアルバイトなら美味しい料理で人々を笑顔にする、テニスサークルならスポーツを通じて一生の仲間をつくる、といったものがミッションに当たります。
ミッションは簡単には変わらない、組織が掲げる大きなスローガンだと捉えてください。
ビジョン:企業の将来の理想像
ビジョンは、ミッションを追求した先に、いつか到達したい具体的なゴールを指します。山登りで言えば、あの山の頂上に立つという目標の姿です。
先ほどの飲食店の例なら地域で最も愛されるレストランになる、サークルの例なら大学の大会で優勝する、といった具体的な将来のイメージがビジョンです。
ビジョンは時間の経過や状況の変化によって、新しく描き直されることもあります。
バリュー:企業の価値観・行動指針
バリューは、ミッションやビジョンを実現するために、メンバーが日々どう行動すべきかという基準を指します。山登りのルールで言えばゴミを捨てない、あるいは体調が悪い仲間を助けるといった、歩き方のコツや約束事です。
具体的には、元気な挨拶をする、新しいことに挑戦し続ける、誠実に仕事をする、といった、一人ひとりの振る舞いの基準です。
実務での活用例:大手製造業A社の場合
ここで、架空の大手製造業A社を例に、MVVがどのように営業活動に活かせるか見てみましょう。A社のMVVを仮に以下として進めます。
バリュー:「挑戦」「誠実」「協働」
ミッション:「技術革新で人々の暮らしを豊かに」
ビジョン:「2030年までに、すべての製品をエコフレンドリーに」
ケース1:新規顧客へのアプローチ
新規顧客へのプレゼンテーションで、自社の製品の特徴だけでなく、「技術革新で人々の暮らしを豊かにする」というミッションに基づいた製品開発の姿勢を伝えることで、単なる機能説明以上の印象を与えられます。
ケース2:環境意識の高い顧客との商談
環境に配慮した製品を求める顧客に対して、「2030年までにすべての製品をエコフレンドリーに」というビジョンを共有し共感を得ることで、長期的な関係性を築ける可能性が高まります。
ケース3:価格交渉での対応
価格交渉の場面で、「挑戦」「誠実」「協働」というバリューを基に、顧客との Win-Win の関係構築を提案することで、単純な値引き交渉を超えた議論に持ち込めます。
なぜITパスポートでMVVを学ぶの?
「でも、ITパスポートなのに、なぜMVVなの?」と思う方もいるでしょう。
実は、ITパスポートは単なる技術試験ではありません。経営全般の基礎知識も問われるのです。
現代のビジネスでは、ITと経営戦略は切り離せません。例えば
- 社内のデジタル化推進プロジェクトに参加する際、会社のバリューを理解していれば、そのバリューを体現するようなシステム設計や運用方法を提案できます。
- 顧客企業のMVVを理解することで、その企業にミッションやビジョンに沿ったITソリューションを提案できるようになります。
- 逆に顧客企業のMVVと合致しない提案をしてしまうと、経営層の賛同を得られないリスクが高まります。
MVVを理解することのメリット
- 営業トークの質向上: 製品やサービスの背景にある理念を伝えることで、より説得力のある提案ができます。
- 長期的な関係構築: 顧客企業とのビジョンの共有により、一時的な取引を超えた関係性を築けます。
- 社内での評価向上: 経営的視点を持った提案ができることで、上司や他部署からの信頼が高まります。
ITパスポート試験の過去問に挑戦
それでは、実際の試験でどのように出題されるか確認しましょう。
企業経営の中核となる考え方をミッション,ビジョン,バリューの三つに分けて示す場合、ビジョンとして示すものとして、最も適切なものはどれか。
ア 企業が大切にする価値観や行動基準
イ 企業の存在意義や使命
ウ 企業の存在意義や使命をふまえた,ある時点でのありたい姿
エ 企業のミッションを実現するための具体的な行動計画(令和7年度 公開問題 問29)
解答:
ウ 企業の存在意義や使命をふまえた,ある時点でのありたい姿
解説:
将来の理想の姿(ありたい姿)を示すのがビジョンです。アはバリュー、イはミッションの説明です。エは戦略(ストラテジー)などに該当します。
企業の経営理念を策定する意義として,最も適切なものはどれか。
ア 企業の存在理由や価値観が明確になり,全従業員の行動の指針となる。
イ 企業の社会的責任を果たすために,法令遵守の徹底を対外的に示す。
ウ 組織内部の管理・統制を強化し,各部門の責任と権限を明確にする。
エ 短期間で利益を最大化するための具体的な事業計画を提示する。(令和元年 秋期 問12)
解答:
ア 企業の存在理由や価値観が明確になり,全従業員の行動の指針となる。
解説:
経営理念(MVVの基礎)を定めることで、何のために働くのか(存在目的)や大切にすべき考え方(価値基準)が共有され、全員が同じ方向を向くことができます。
本日のまとめ
- ミッション: なぜやるかという社会への使命
- ビジョン: どこへ行くかという将来の理想の姿
- バリュー: どう動くかという日々のルール
MVVは一見すると経営者のための言葉に見えますが、自分たちの組織が大切にしていることを知るための大切なキーワードです。
しかし、これらを理解し活用することで、単なる製品説明を超えた、価値ある提案ができるようになります。
ITパスポート試験でMVVを学ぶことは、単に試験に合格するためだけでなく、実際のビジネスシーンで活躍するための重要なステップとなります。
ぜひ、この機会にMVVの概念をしっかり理解し、あなたの営業スキルを一段階上のレベルに引き上げてください。
