はじめに
ITパスポート試験の「プロジェクトマネジメント(マネジメント系)」分野を勉強していると、必ず「WBS」というアルファベット3文字の用語にぶつかります。
「横文字ばかりで覚えにくい…」「過去問でよく見るけど、結局何をするための図なの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ITパスポート試験で必ず得点しておきたいWBS(Work Breakdown Structure)について、初心者向けに図解のイメージを交えながらわかりやすく解説します。また、実際の過去問を使って「試験でどう問われるか」の解答のコツも紹介します。
WBSとは?(Work Breakdown Structure の略)
WBSとは、「Work Breakdown Structure(ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー)」の頭文字をとった言葉で、日本語では「作業分解構成図」と呼ばれます。
ひとことで言うと、「プロジェクト全体の作業を、細かいタスク(作業)に分解して、階層状のツリー構造で表した図」のことです。
例えば、「文化祭の模擬店(たこ焼き屋)を出店する」というプロジェクトを思い浮かべてみてください。
いきなり「たこ焼き屋をやるぞ!」と言っても、何から手をつけていいかわかりませんよね。そこでWBSを使います。
- プロジェクト全体:たこ焼き屋の出店
- 大分類:①準備段階、②当日の運営、③片付け
- 中分類(①準備段階):・食材の買い出し、・機材のレンタル、・看板の作成
- 小分類(食材の買い出し):・タコを買う、・粉を買う、・ソースを買う…
このように、大きな目的(プロジェクト)からスタートして、「誰が・何を・いつまでにやればいいか」が具体的にわかるレベルの小さな作業(タスク)になるまで、細かく分解していく手法がWBSです。
WBSを作成する3つの大きなメリット
なぜプロジェクトの世界では、必ずと言っていいほど最初にWBSを作るのでしょうか。ITパスポート試験でも、この「作成の目的・メリット」がよく問われます。
1. 作業の漏れ(抜け漏れ)を防ぐ
頭の中だけで「あれをやって、これをやって…」と考えていると、必ず重要な作業を忘れてしまいます。全体から細かく階層状に分解していく(トップダウン・アプローチ)ことで、「あれ?お釣りの準備のタスクが抜けているぞ」と漏れに気づきやすくなります。
2. スケジュールや費用の見積もりがしやすくなる
「たこ焼き屋を出すのにいくらかかるか?」はすぐには計算できません。しかし「タコを買うのにいくら?」「鉄板を借りるのにいくら?」と細かく分解されたタスクごとなら、正確な費用や必要な日数を見積もることができます。
3. 担当者の役割分担(責任の所在)が明確になる
一番下まで分解された作業(これをワークパッケージと呼びます)には、「この作業はAさんが担当する」と担当者を割り振ります。これにより、「誰がやるべき作業なのかわからなくて放置されていた」というトラブルを防ぐことができます。
ITパスポート試験での出題ポイント
WBSはITパスポートのマネジメント系(プロジェクトマネジメント)で非常に頻出する用語です。
試験では、以下のキーワードと結びつけて出題されることがほとんどです。
キーワード(これが来たらWBS!)
問題文の中に以下の単語が出てきたら、答えは「WBS」である可能性が極めて高いです。
- 階層的(ツリー状) に分解する
- プロジェクトの作業範囲(スコープ) を明確にする
- 細かい作業(タスク) に細分化する
よくある間違い(ひっかけ選択肢)
WBSはあくまで「作業のリスト(一覧表・構成図)」です。
「作業の順番(スケジュールや矢印)」を表す図と混同させようとする問題が出ますので注意しましょう。
- アローダイアグラム(PERT図):作業の順序や所要時間、クリティカルパス(最短の完了日数)を表す図です。
- ガントチャート:横軸に時間、縦軸に作業をとり、スケジュールの進捗を棒グラフで表す図です。
WBSを作ったあとに、そのリストを元にしてガントチャートやアローダイアグラムを作成する、という順番になります。
過去問に挑戦!出題パターンを解いてみよう
実際のITパスポート試験で出題された過去問を見て、解答のコツを掴みましょう。
【過去問例1】(令和4年度 問36類題)
プロジェクトで行う作業を階層的に細分化し、管理可能な大きさに分割したものはどれか。
ア:WBS
イ:ガントチャート
ウ:アローダイアグラム
エ:マインドマップ
【解説】
問題文の「作業を階層的に細分化」というキーワードから、一発でアの「WBS(Work Breakdown Structure)」が正解だとわかります。
イのガントチャートは「スケジュールの進捗管理」、ウのアローダイアグラムは「作業の順序や所要時間の管理」に使う図です。
【過去問例2】(令和3年度 問54類題)
プロジェクトのスコープ(作業範囲)を定義し、作業の抜け漏れを防ぐために、プロジェクトの成果物と作業を階層的に要素分解していく手法として、最も適切なものはどれか。
ア:WBS
イ:SWOT分析
ウ:BPMN
エ:RFP
【解説】
「成果物と作業を階層的に要素分解」というキーワードがありますので、正解はアの「WBS」です。
ちなみに、SWOT分析は経営戦略(強み・弱みなど)、BPMNは業務プロセスの表記法、RFPはシステム開発の提案依頼書ですので、マネジメント分野の用語ではありません。
さらに深く!「WBS辞書」とは?
WBSをより詳細に管理するために、ITパスポート試験では「WBS辞書」という言葉が出題されることもあります。
WBSの図自体には、「料理をする」「買う」といった短いタスク名しか書けません。
しかし、それだけでは担当者が「具体的に何をどこまでやればタスク完了になるのか」がわかりませんよね。
そこで、WBSの一番下層にある各作業(ワークパッケージ)に対して、
- 具体的な作業内容の詳細
- 完了の基準(どうなったらこのタスクは終わりか)
- 前提条件や制約
などを詳しく文字で書き記した補助文書を作成します。これを「WBS辞書」と呼びます。
これも過去問で出題実績(令和3年度など)があるため、「WBSとセットで作る詳細な説明書」として覚えておくと完璧です。
まとめ:WBSの重要ポイント
ITパスポート試験に向けて、この記事のおさらいです。
- WBS(作業分解構成図)は、プロジェクト全体の作業を階層的に分解した図。
- 目的は「作業の抜け漏れを防ぐ」「見積もりをしやすくする」「担当者を明確にする」こと。
- 作業の順序を示す「アローダイアグラム」や、スケジュール進捗を示す「ガントチャート」との違い(ひっかけ問題)に注意。
- 「階層的」「要素分解」というキーワードが出たらWBSを疑う!
- 各作業の詳細や完了基準を書いた補助文書を「WBS辞書」と呼ぶ。
WBSはプロジェクトマネジメントの基礎中の基礎であり、ITパスポート試験のマネジメント系で必ずと言っていいほど出題される超重要キーワードです。
英語のフルスペル(Work Breakdown Structure:作業・分解・構成)と紐付けておくと、より忘れにくくなるのでおすすめです。
この記事はITパスポート試験のシラバス(マネジメント系:プロジェクトマネジメント)に基づいて執筆しています。
