【ITパスポート】アジャイル開発とは?手法と特徴を図解でわかりやすく解説

アジャイルとは?変化の激しい現代を生き抜く革新的な開発スタイル

皆さんは、何か新しいことに挑戦するとき、最初から最後まで完璧な計画を立ててから動き出しますか。それとも、まずはやってみて、うまくいかなければその都度直していくタイプでしょうか。例えば、初めて作る凝った料理。レシピを隅々まで読み込み、材料も完璧に揃え、一度のミスも許されないプレッシャーの中で作り始めるのは、非常に大きなエネルギーが必要です。一方で、少しずつ味見を繰り返し、塩が足りなければ足し、火が強ければ弱めるという風に 対話 しながら進める方が、最終的に自分好みの最高の一皿にたどり着ける確率は高くなります。この、味見を繰り返しながら完成に近づけていくしなやかなスタイルこそが、現代のシステムの作り方の主流となっているアジャイルという考え方です。

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最初から完璧を目指さない価値

かつてのシステム開発では、家を建てる時のように 最初に全ての設計図を完成させ、それに基づいて順番に進めていく 方法が一般的でした。これを滝が上から下に流れる様子に例えてウォーターフォールと呼びます。しかし、変化の激しい現代では、設計図を作っている間にユーザーの欲しいものが変わってしまったり、完成した頃には技術が古くなっていたりすることが珍しくありません。

アジャイル(Agile)は、俊敏な、という意味を持つ言葉です。その名の通り、システムを大きな一つの塊として作るのではなく、小さな機能単位に分割し、短い期間で開発とリリースを繰り返します。一回一回のサイクルで実際に動くものを確認し、必要があればすぐに軌道修正を行う。この 失敗を早めに経験し、すぐに直す というスタンスが、不確実な世の中において大きな強みとなります。

開発を支えるチームの連携と短いサイクルの繰り返し

アジャイル開発の中でも特に有名な手法にスクラムがあります。これはラグビーのスクラムのように、チーム全員が一丸となって目標に向かうスタイルです。スクラムでは、1週間から4週間程度の短い期間を一区切りとし、この期間をスプリントと呼びます。

スプリントの開始前に、今回作るべき機能の優先順位を整理したリスト(製品バックログ)から、この期間で取り組む項目を選び出します。そして毎日、昨日やったことや今日やること、今困っていることを短時間で共有し合う場(デイリースクラム)を設けます。こうしてチーム内の風通しを良くし、小さな問題をすぐに見つけ出せる仕組みを作っているのです。

ソフトウェア開発に革命をもたらした大切な約束事

アジャイルという考え方の根幹には、2001年に提唱されたアジャイルソフトウェア開発宣言というものがあります。これは、単なる技術的な手法ではなく、開発者が大切にすべき4つの価値観を示したものです。

ここでは、プロセスのルールを守ることよりも人間同士の対話を重視し、分厚い説明書を作るよりも実際に動くソフトウェアを作ることを優先します。さらに、契約や交渉に縛られるのではなく顧客との協力を大切にし、あらかじめ決めた計画に従うことよりも、目の前の変化に対応することに重きを置いています。

このマインドセットがあるからこそ、アジャイルは単なる効率化の手段ではなく、関わる人全員が幸せになれる開発の形として世界中に広がりました。

開発の質を高めるための具体的なテクニック

アジャイル開発の実践現場では、品質を保ちながらスピードを上げるための工夫がいくつも取り入れられています。例えば、二人一組で一つの画面を見ながらプログラミングを行うペアプログラミングがあります。一人がコードを書き、もう一人が隣でナビゲートすることで、その場で間違いに気づけたり、知識の共有が自然に行われたりします。

また、プログラムのコードを、機能を変えずに読みやすく整理し直すリファクタリングも重要な要素です。一度書いたら終わりではなく、常にメンテナンスし続けることで、将来的に機能を足しやすく、壊れにくいシステムを維持します。さらに、プログラムを書く前にテストコードを先に作成するテスト駆動開発なども、アジャイルなリズムを支える大切な技術です。

アジャイルな姿勢を実生活に活かす

アジャイルは、エンジニアのためだけの言葉ではありません。私たちの仕事や勉強、日々の生活をより良くするためのヒントに満ちています。

例えば、資格試験の勉強。試験の1ヶ月前に分厚い参考書を最初から最後まで一度だけ読むよりも、1週間ごとに小テストを繰り返し、間違えた部分を重点的に復習しながら次に進む方が、確実に合格に近づけます。これも立派なアジャイルです。あるいは、新しい趣味を始めるとき。高価な道具を全て揃えてから始めるのではなく、まずは最低限のものだけでやってみて、本当に楽しくなったら徐々に装備を充実させていく。こうした 小さく始めて、学びを得ながら育てる という姿勢こそが、今の時代に求められている知恵と言えるでしょう。

ITパスポート過去問で理解を深める

アジャイルに関連する用語は試験でも非常に狙われやすいポイントです。実際の過去問を通じて、キーワードがどのように問われるか確認してみましょう。

令和5年度 問4

ソフトウェアの開発手法において、開発対象を短い期間ごとに区切り、その期間内に要望の取りまとめから設計、開発、テストまでを行い、動作するソフトウェアを作成するサイクルを繰り返す手法はどれか。

ア アジャイル

イ ウォーターフォール

ウ リバースエンジニアリング

エ ラピッドアプリケーションデベロップメント

正解はアです。 短い期間ごとに区切り サイクルを繰り返す という表現がアジャイルの最大の特徴です。

令和4年度 春期 問45

アジャイル開発において、1週間から数週間という短い開発期間を繰り返し、動作するソフトウェアを作成する単位を何と呼ぶか。

ア イテレーション(スプリント)

イ プロトタイプ

ウ バックログ

エ マイルストーン

正解はアです。問題によってはスプリントという言葉使われることもあります。ウのバックログは やるべきことのリスト(優先順位表) ですので、混同しないように注意しましょう。

アジャイルの背後にある哲学や価値観をより詳しく知りたい方は、公式の アジャイルソフトウェア開発宣言 (日本語版) を一読することをお勧めします。非常にシンプルながら、本質を突いたメッセージが込められています。

進化し続ける自分たちのための武器

アジャイルを学ぶことは、単にシステムの作り方を知ること以上の価値があります。それは、予想外の変化が起きてもパニックにならず、今自分たちができる最善の一歩を探し、実行し、そこから学ぶという強力な武器を手に入れることです。

試験勉強もプロジェクトも、最初からゴールまで全ての景色が見えている必要はありません。今のスプリント(今週の学習)に集中し、その成果を確認して次に活かす。その繰り返しの先に、確かな合格と、その先の成長が待っています。アジャイルという素晴らしい考え方を味方につけて、変化を楽しめる自分へとアップデートしていきましょう。

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