はじめに
「固定費って、売上に関わらず発生する費用のこと……でも、具体的に何が含まれるの?」
そんな疑問を持っていませんか?ITパスポート試験では、固定費の定義や具体例だけでなく、損益分岐点計算との関係が頻繁に問われます。曖昧なままにしておくと計算問題でつまずいてしまいます。
この記事では、固定費の定義・具体例・変動費との違いを丁寧に解説します。さらに試験で狙われる出題パターンも紹介するので、ぜひ最後まで読んでください。
固定費とは?
固定費(こていひ)とは、売上高や生産量の増減に関わらず、毎月一定額が発生する費用のことです。
「固定」という言葉の通り、製品がまったく売れなくても、工場が稼働していなくても、必ず発生し続けます。
ラーメン店で考えてみよう
ラーメン店を例に考えます。
- 月の売上が100万円でも1万円でも、店舗の家賃は毎月20万円かかります
- アルバイトがいなくても、正社員の給与は毎月支払い義務があります
- 設備が遊んでいても、厨房機器の減価償却費は毎月発生します
このように、売上ゼロでもかかり続けるコストが固定費です。
ポイント:固定費は「お店(事業)を維持するだけでかかるコスト」とイメージするとわかりやすいです。
固定費の具体例
| 費用の種類 | 内容 |
|---|---|
| 地代家賃 | 事務所・工場・店舗の賃借料 |
| 人件費(正社員) | 正社員の給与・賞与・社会保険料 |
| 減価償却費 | 建物・機械・設備の価値の年次減少分 |
| 保険料 | 火災保険、損害保険などの年間保険料 |
| 役員報酬 | 取締役・監査役への報酬 |
| リース料 | 機械・車両・設備のリース契約料金 |
| 研究開発費 | 新製品・新技術の開発にかかる費用 |
試験で狙われやすい固定費:家賃・正社員給与・減価償却費の3つは特に頻出です。確実に覚えておきましょう。
変動費との違い
固定費と対になる概念が変動費です。固定費と変動費の最大の違いは「売上との連動性」にあります。
| 種類 | 特徴 | 具体例 |
|---|---|---|
| 固定費 | 売上・生産量に関わらず一定額が発生 | 家賃、正社員給与、減価償却費、保険料 |
| 変動費 | 売上・生産量に比例して増減する | 材料費、仕入原価、外注費、パート人件費 |
「売れなくてもかかるか?」で判断する
費用を分類するときは、「売上がゼロでもこの費用はかかるか?」と問いかけるのが最も簡単です。
- 家賃 → 売れなくても毎月払う → 固定費
- 材料費 → 製造しなければ発生しない → 変動費
- 電気代 → 生産量に応じて変わる部分あり → 変動費寄り(問題文の分類に従うこと)
注意:光熱費や通信費は両方の性質を持つ「半固定費」とも呼ばれますが、ITパスポートの試験では問題文で分類が明示されます。
損益分岐点と固定費の関係
損益分岐点(BEP: Break-Even Point)は、固定費と変動費を使って次のように求めます。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ (1 − 変動費率)
※ 変動費率 = 変動費 ÷ 売上高
固定費が増えると損益分岐点が上がる
固定費が大きくなるほど、損益分岐点(黒字転換に必要な売上高)も上がります。
例:
固定費:300万円、変動費率:40% → 損益分岐点 = 300 ÷ 0.6 = 500万円
固定費が増えて400万円になると → 損益分岐点 = 400 ÷ 0.6 = 約667万円
固定費が増えると、それだけ多くの売上がないと赤字になってしまうことがわかります。
固定費を下げる経営改善の意味
企業がリストラや家賃削減に取り組む理由が、ここにあります。固定費を下げることで損益分岐点が下がり、より少ない売上でも黒字にできる体質になるのです。
限界利益と固定費の回収
限界利益は売上高から変動費を引いた金額で、固定費の回収に充てられます。
限界利益 = 売上高 − 変動費
営業利益 = 限界利益 − 固定費
限界利益が固定費を上回れば「黒字」、下回れば「赤字」です。
| 状態 | 意味 |
|---|---|
| 限界利益 > 固定費 | 営業利益がプラス(黒字) |
| 限界利益 = 固定費 | 損益分岐点(利益ゼロ) |
| 限界利益 < 固定費 | 営業損失(赤字) |
【試験対策】ITパスポートの出題パターン
パターン①:固定費・変動費の分類問題
問題例:次のうち、固定費に分類されないものはどれか?
ア:工場の賃借料 イ:設備の減価償却費 ウ:製品の材料費 エ:役員報酬
解説:材料費は生産量に比例して増減するため変動費(ウが正解)。家賃・減価償却費・役員報酬はいずれも固定費。
パターン②:損益分岐点を求める問題
問題例:固定費:480万円、変動費率:40%のとき、損益分岐点売上高を求めよ。
解説:損益分岐点売上高 = 480 ÷ (1 − 0.4) = 480 ÷ 0.6 = 800万円
パターン③:固定費の変化が損益分岐点に与える影響
問題例:現在の損益分岐点売上高は800万円。固定費を20%削減した場合、新しい損益分岐点売上高はいくらか(変動費率は変わらないとする)。
解説:
現在の固定費 = 800 × 0.6 = 480万円
削減後の固定費 = 480 × 0.8 = 384万円
新しい損益分岐点 = 384 ÷ 0.6 = 640万円
まとめ:固定費の重要ポイント
- 固定費:売上・生産量に関わらず一定額が発生する費用(家賃・正社員給与・減価償却費など)
- 変動費との違い:「売れなくてもかかるか?」で判断する
- 総費用 = 固定費 + 変動費
- 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ (1 − 変動費率)
- 固定費が増える → 損益分岐点が上がる(より多くの売上が必要になる)
- 固定費が減る → 損益分岐点が下がる(少ない売上でも黒字にできる)
固定費を正しく理解することは、損益分岐点計算の土台です。計算式を覚えるだけでなく、「なぜ固定費が増えると損益分岐点が上がるのか」という仕組みまで理解すると、初めて見る問題にも対応できるようになります。
過去問も積極的に活用して、計算の流れを繰り返し練習しましょう!
