結論:BCPは、災害やシステム障害などが起きても、優先度の高い業務を止めない、または早く再開するための事業継続計画です。想定する事故を書き並べるだけでなく、何を優先し、誰が判断し、どの手段で続けるかをあらかじめ決めます。
BCPとは何か
BCPはBusiness Continuity Planの略で、日本語では事業継続計画といいます。地震、台風、停電、感染症、サイバー攻撃、基幹システムの障害などにより通常どおりに仕事ができなくなったとき、重要な商品・サービスの提供を続ける、または許容できる時間内に復旧するための計画です。
全ての業務を同時に元へ戻すことは、限られた人員や設備では難しい場合があります。そこでBCPでは、顧客への連絡、受注、決済、物流など、停止による影響が大きい業務を選び、優先順位を定めます。IPAのITパスポート試験シラバスVer.6.5でも、BCPは経営管理に関する用語例として示されています。
BCPが機能するまでの流れ
まず、止まると困る業務と、止まった場合の影響を洗い出します。次に、必要な人、情報、設備、取引先、連絡手段を確認し、代替手段を決めます。例えば社内の通信が使えないときの連絡先、別の場所で作業する条件、紙や別システムで受け付けた内容を後で戻す方法などです。
計画を文書にしただけでは、緊急時に使えるとは限りません。連絡訓練や復旧訓練で、担当者が連絡できるか、必要なデータを取り出せるか、手順に抜けがないかを確認し、組織やシステムの変更に合わせて見直します。BCPは作成して終わりではなく、運用と改善を含む仕組みです。
防災計画・DRとの違いと使い分け
| 考え方 | 主な目的 | 対象の中心 |
|---|---|---|
| BCP | 重要業務を続ける、または早期に再開する | 人、業務、取引先、設備、情報システムを含む全体 |
| 防災計画 | 人命と安全を守り、被害を減らす | 避難、安否確認、設備の安全など |
| DR | 情報システムやデータを復旧する | サーバー、ネットワーク、データ、復旧拠点など |
防災計画は被害を防ぐ・減らす視点、DRはITを復旧する視点が中心です。BCPはそれらを含みつつ、事業をどう続けるかという経営上の優先順位を扱います。DRでシステムを復旧できても、担当者への連絡や代替の作業場所が決まっていなければ、業務再開につながらないことがあります。
データを復旧する具体的な準備は、バックアップの種類と世代管理で確認できます。BCPで定めた復旧時間を実現できる保存方法かを考えるために、続けて読むと理解がつながります。
仕事と日常生活で考えるBCP
仕事では、受注を受けるWebサイトや会計システムが使えない場合でも、顧客への連絡と受注内容の記録を続ける方法を決めます。優先業務を決めずに全機能の復旧を待つと、影響の大きい対応まで遅れるためです。代替手段で扱った情報を、復旧後に正しい記録へ戻す手順も必要です。
日常生活では、災害や通信障害で普段の決済や連絡が使えない状況を想定し、家族との連絡方法、必要な情報の保管場所、非常時に使う手段を複数用意する考え方が近いものです。BCPそのものは組織の計画ですが、重要な行動を優先し、代替手段を用意する発想は共通します。
機器故障に備える仕組みとしては、RAIDとは何かも押さえましょう。RAIDはディスク障害への対策であり、BCPの代わりではありません。対策の対象範囲を分けると、試験問題でも混同しにくくなります。
ITパスポート試験で押さえる要点
- BCPは、緊急時にも重要業務を継続し、早期復旧を目指す事業継続計画です。
- 重要業務の優先順位、代替手段、担当者、連絡方法、復旧手順を決めます。
- 防災計画は安全確保、DRはIT復旧、BCPは事業全体の継続が中心です。
- 計画は訓練と見直しを行い、実際に使える状態を維持します。
サイバー攻撃も業務を止める要因になります。ランサムウェアの仕組みと対策を読むと、データが使えなくなった場合に復旧手段を準備する意味を、BCPの観点で整理できます。
確認問題
問題:大規模なシステム障害が起きたとき、顧客への連絡と最低限の受注処理を優先して続けるため、担当者、代替の連絡手段、復旧手順をあらかじめ定める取組として最も適切なものはどれですか。
- BCP
- DRだけを定めること
- RAIDの導入だけを行うこと
- 防災設備だけを増やすこと
答え:1. BCP。BCPは重要業務の継続と早期復旧を目的に、人、業務、情報システムを含めて準備する計画です。DR、RAID、防災設備はいずれも有効な対策になり得ますが、それだけでは業務の優先順位や代替手段まで定まりません。

